こちらの記事は
三越伊勢丹トラベルサロン様
機関紙「mi viaje」
5月号への掲載記事です
イタリアでの暮らしで見つけた楽しみの一つはカフェ巡りです。
カフェ巡りといってもちょっとしたこだわりがあり、カフェ文化の根付くトリノだからこそ体験できる歴史のあるカフェがおすすめです。こだわりを持つバリスタのお話や、地元の人々と交わす何気ないコミュニケーションもイタリアのカフェの魅力の一つです。
イタリアのカフェ事情
イタリアでカフェにあたるお店はバール(Bar)と呼ばれます。
バール(Bar)と聞くとてっきりお酒を飲むバーと混乱してしまいそうですが、イタリアのバールの特徴は使い勝手の良さ。コーヒーやお茶以外に、朝昼夜と食事もできてお酒まで飲むこともできるので子供からお年寄りまで幅広い人々に利用されています。
歴史が深いトリノのカフェ(バール)がおもしろい
北イタリアのトリノはスイーツの発展と共にカフェ文化も発達し、バールは社交の場としてもかかせない存在になりました。その名残から現在も街中にはカフェがたくさん。古くはなんと1700年代から続くという場所も多く、歴史を感じる美しい店内と本場のコーヒーの味を求めて世界中から観光客が訪れます。1700年代というと日本の江戸時代あたりから創業していることになるのですから、その歴史の深さがうかがえますね。
一度は飲みたい チョコレート味のコーヒー「 ビチェリン」
トリノへ来たばかりの頃、友人が「トリノ に来たら絶対に行くべきだよ」と連れて行ってくれたのがCaffè Al Bicerin(カフェ・アル・ビチェリン)。創業1763年、250年以上も続く老舗のカフェ。ここで生まれたのが「ビチェリン」と呼ばれるホットチョコレート +エスプレッソ+牛乳が3層になった温かい飲み物です。現在はトリノを代表する飲み物として、トリノのほとんどのバールで提供されています。ピエモンテ州の言葉で小さなグラスを意味し、混ぜないで3層それぞれの味を楽しむのが「ビチェリン」の粋な飲み方なのだそう。
カフェトリノで優雅な朝食を
1903年創業のカフェトリノ(Caffè Torino)はトリノでも有名な老舗の一つです。お店の面するサンカルロ広場は美しいアーケードに囲まれたひときわ上品な場所。 女王様の散歩道として作られたアーケードは雨の日でも濡れることなく宮殿へたどり着くことができます。こちらでの定番はクロワッサンとカプチーノですが、パスティッチーニいう小さなイタリアのスイーツと一緒に頂くのもおすすめです。休日にはどこからかアコーディオン演奏が聞こえてきたりして、まるで映画のワンシーンの中にいる気分に浸ることができます。俳優のジェームズ・ステュワートや女優ブリジット・バルドーも訪れたことがあるのだそうです。暖かい季節は、テラス席がおすすめです。
世界遺産のトリノ王宮で頂くロイヤルスナック
3時のおやつのイタリア版とも言える習慣といえば「メレンダ」。世界遺産トリノ王宮内にあるカフェ・レアーレ(Caffè Reale)ではロイヤルスナックとも言ばれる習慣、メレンダ・レアーレ(Merenda Reale)を楽しむことができます。サヴォイヤ王家の豪華な磁器や銀食器に囲まれた店内はいつ訪れても心が弾みます。王宮内で優雅な「おやつの時間」が楽しめるユニークな空間です。
以上ご紹介したのはほんの一部で、トリノには個性的な歴史的なカフェがまだまだたくさんあります。と、まさに今私はトリノのバールにてこの記事を書き終えようとしているところ。店員さんにお会計をお願いすると「行っちゃうの?また明日も戻ってきてね。」と優しく声をかけてくださり、ささやかな一言で心が温まります。
店員さんとお客さんの関係を超えた、人と人との関わりこそがイタリアの長く温かいバールの歴史を作っているのかもしれませんね。
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