本場のオレンジワインを、初体験してきました。
枯葉も散り始めて、なんだか寂しさを感じる秋、昨年にさかのぼり、トスカーナ州インプルネータという小さな村に、世界が注目する「テラコッタワイン」が世界中から集合。ソムリエの講習のためトスカーナに滞在していたので、こんなチャンスは滅多にないということで様々なテラコッタワインを試飲してきました。
最初にお伝えしますが、今日の内容はちょっと固めです。
テラコッタワイン×インプルネータ
トスカーナ州、フィレンツェの郊外にある素朴な村「インプルネータ」
きっと、ワインを勉強しなければ行くことはなかったこの場所は、トスカーナの名産オリーブオイルを保存する容器の原料となるテラコッタの産地として有名な場所。
テラコッタとはイタリア語で「terra」=土、「cotta」=焼くという意味で、素焼きの粘土や陶器を想像していただくとわかりやすいでしょうか。
このテラコッタで作られた容器はアンフォラと呼ばれます。
ジョージアで発祥したアンフォラを使ったワイン造りが、古代ギリシャ、ローマ時代にイタリアにも広まり、当時ワインの醸造、熟成、貿易にも使用されていました。
自然の原料で作られるテラコッタワインは完全無農薬、容器(アンフォラ)を土の中に埋めて熟成させたりと、言わばビオワインの元祖。スティールタンクや樽が主流になっている現代のワイン造りの原点として、近年ビオワインの生産者たちを中心に世界から注目され始めています。
オレンジワインの原点
テラコッタワインの場合は白ワイン作りに赤ワインの製法で作られることが多い事から、ワインにぶどうの皮と実の濃い色がついて、オレンジ色のワインが出来上がります。最近はそういったワインがオレンジワインと呼ばれるようになりましたね。(と言いながら、日本でオレンジワインがブームだと、実は最近知ったけれどね。)
オレンジワインと言っても作り方によっては薄い色をしていたり、オレンジ色だったりするので一概にオレンジワインと言っても、線引きが難しく奥が深いのです。
なぜ、アンフォラを使うのか
自然の原料で作られたアンフォラはワインの「醸造、熟成、保存」全てに最適。
断熱性に優れ、多孔度のある素材は緩やかに酸化を進め、タンニンを柔らかく、同時に風味に複雑性を出してくれます。もっと細かい理由は私の頭が溶けてしまいそうなので、テラコッタの専門家が言うから間違いなし。
化学薬品を一切使わないため、オーガニック、バイオダイナミック農法を実践するワイン生産者を中心に取り入れる生産者が増えています。
5つの気になる生産者
2014年にスタートしたテラコッタワインの試飲会は、2016年の今回が第2回目の開催。イタリアを中心に海外からはテラコッタワインの発祥と言われるジョージアはもちろんフランス、ポルトガル、アメリカ(カリフォルニア、オレゴン州)、オーストリアなど40以上の生産者が参加していました。
ワインだけではなくビールも試飲でき、テラコッタワインの試飲セミナーなどもあり、盛りだくさん。さすがに時間的にも体力的にも全部試飲することはできませんでしたが、気になった生産者をいくつかご紹介したいと思います。
Henri Jiraud
まず入り口にはフランスの偉大なシャンパンの作り手Henri Jiraudが。自然派のワイン作りを徹底していて、現在全てのキュベを木樽とテラコッタの甕で熟成させているのだそう。こちらは到着した時には既に売りきれており試飲できませんでしたが、注目のテラコッタシャンパンです。
Azienda Agricora Arrighi
テラコッタワイン初心者の私ですが、そんな私にとっても飲みやすいと感じて購入して帰ったのはこちらの白ワイン。トスカーナの離島、エルバ島にワイナリーを構える生産者Azienda Agricora Arrighi。オリーブオイルも生産しているようで、島の素晴らしさのお話を聞いているとエルバ島にも行きたくなってしまいました。ちなみにナポレオンが退位後に追放された島なのだそう。
Vinicola Savese
とっても印象に残ったのは、軽いワインから順番に甘口ワインまで全種、説明付きで試飲させてくださったプーリアの生産者 Vinicola Savese の赤ワイン。アンフォラから実際にグラスに注いでくださったのは感激でした。プーリアの太陽を存分に浴びて、熟した果実の甘みがまろやかな赤ワイン。このワインは売り切れで残念。買って帰りたかったな。
Minimus Wine
海外部門ではアメリカ、天体をイメージしたラベルがおしゃれなオレゴン州 Minimus Wine の白ワイン。
Wein Von Proder
オーストリアの Wein Von Proder 。こちらは、ウェブサイトもドイツ語のみで、イタリア国内でも買うことのできないレアなテラコッタワインでしたがスッキリとした飲み口は白も赤も飲みやすくて美味しかったです。是非機会があれば飲んでみて頂きたいワインでした。
テラコッタワインは美味しい?それとも…
基本的には優しくて自然な味わい、かな。テラコッタ初体験の私には、全体的に白ワインより赤ワインの方が飲みやすく感じました
生産者によっても味はピンキリで賛否両論なので、うーん…わからないなあと言ったものから、これは飲みやすくて美味しい!と思うものまでありました。
全くレポートになってないけれど、実際に飲んでみるのが一番です。とにかく悪いものが入ってないと言うコンセプトは女性には嬉しいんじゃないかなあ。
以上ご紹介した生産者の他にも、素晴らしい生産者がたくさん。これから注目のテラコッタワイン(アンフォラワイン)ですが、オレンジ色のワインを見つけたら作り方に是非とも注目してお試しください。
長々と最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今年は紅葉が見れなかったので、違うオレンジ色を楽しもう。
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