コロナウイルスの影響ですっかりライフスタイルが変化した今、みなさまも自宅で過ごす時間を充実させるために工夫を凝らして生活されていることであろう。
我が家はこの冬アメリカから拠点をロンドンに移し、新しい場所での生活が始まったのだが自粛生活も1ヶ月が過ぎたところで先日3週間の延期が発表された。ベストシーズンを迎えた春の太陽の下で新しい街を散策するのはまだまだ先になりそうだ。
さて連載を書かせていただいている世界ワイン巡りだが、今回は自宅から「自宅で過ごされているみなさまへ」少しでも楽しいおうち時間を過ごしていただくため「春のおすすめ家飲みワイン」を4つご紹介したいと思う。今年はお花見も自粛モードだったことも考慮しその埋め合わせと言うのはなんだが、お昼からゆっくりのみたいおすすめワインを中心にセレクトしている。
1)ピンク色の「ロゼ・ワイン」で家の中でもオシャレに春気分
以前のロゼの記事でもご紹介したが、ポカポカ陽気のお昼におすすめなワインといえばピンク色の見た目も美しいロゼワインだ。初心者の方におすすめなのが生産されるワインのうちの約90%がロゼワインとされる本場南フランスのプロヴァンス地方のロゼワインだ。特徴は白い花や新鮮ないちごやベリーの香り。ロゼはプロヴァンスでは地元のシーフードやスープなどと合わせて飲まれ、ヘルシーな和食にもあわせやすい。
2)陽気で華やかな時間を イタリア生まれの「プロセッコ」
春に飲むプロセッコは爽快感とともに華やかさも与えてくれる。スパークリングの気分だが熟成され複雑なアロマが混じり合う濃厚なシャンパーニュは昼から飲むにはちょっと重い。そんなときにぴったりなのがプロセッコだ。気さくな味わいと価格で楽しめるプロセッコの出荷量は今やシャンパーニュを上回り、ロンドンでは期間限定のプロセッコのATMが設置されたとニュースが評判になったほど。特徴は青りんごやメロンのようなフルーティな香りとさっぱりした後味。野菜や卵料理、揚げ物との相性もよくアペリティフとしても大活躍。その飲みやすさから飲み過ぎには注意したい。
3)フレッシュ爽やか テラスで飲みたい白ワイン「ソーヴィニョン・ブラン」
ソーヴィニヨン・ブランは今世界で最も飲まれている白ワインのひとつだ。アロマティック品種に分類されるこのぶどうの特徴は植物やハーブ、野菜はパプリカやアスパラなどの香りとすっきり爽やかな後味だ。繊細で新鮮な香りを保てる若いうちに飲むのがおいしい飲み方ではあるが一部の地域ボルドーやカリフォルニアで作られるソーヴィニヨン・ブランではオーク樽で熟成するスタイルも生産され、そちらのスタイルは熟成しまろやかさを増したはちみつ、バターなどの風味を感じる違ったタイプのソーヴィニョン・ブランを楽しむことができる。
4)読書や映画鑑賞しながら フルーティな赤ワイン「ピノ・ノアール」
個人的に赤ワイン初心者にもおすすめしているピノ・ノアールはライト〜ミディアムボディの赤ワインでエレガントで繊細な香りと味わいが魅力だ。ピノ・ノアールはフルボディの赤ワインに感じられる渋み(タンニン)がマイルドになって口当たりもよい。フランス、アメリカ、イタリア、ニュージーランドと質の良いピノ・ノアールが生産されているが、初心者の方にはブルゴーニュ地方ニュイ・サン・ジョルジュのピノ・ノワールをおすすめしたい。若いうちは薔薇やチェリーの香り、熟成するにつれトリュフや熟したプルーンなどの芳香も加わりまろやかで官能的かつ気品のある素晴らしい味わいとなる。
余談であるが1971年、アポロ15号が月にニュイ・サン・ジョルジュのエチケットを残し、着陸したクレーターを「サン・ジョルジュ」と命名したことでも知られる。これはアポロ15号の船長がジュール・ベルヌの小説「月世界旅行」の中のニュイ・サン・ジョルジュのワインを飲むシーンから影響を受けたとされている。
ピノ・ノアールのバラやベリーの香りを楽しみながらゆっくり読書や映画を楽しむ。まさに理想のお家時間の過ごし方と言えそうだ。
外出できない日々が続くとはいえ、日中は自宅での仕事や家事、育児などに追われる人も多いのが現実であろう。これらのワイン選びが充実したみなさまの#お家時間 を過ごすヒントになれば幸いだ。さて原稿を書き終えたところで、わが家もまもなく一日の楽しみ「ワイン・オクロック(WIne o’clock」を始めるとしよう。