情熱的でほろ苦い「アマローネ」を求めて
愛の街ヴェローナへ
イタリア語で苦い(アマーロ)という意味を持つワイン「アマローネ」。
今回は、ロミオとジュリエットの舞台である愛の街ヴェローナ、そして北部のワイン産地ヴァルポリチェッラへイタリア最高峰アマローネを求めて訪れました。
完熟したブドウを3~4ヶ月陰干しし、果汁を凝縮させ40~45%ほど水分を取り除いてからブドウを発酵させます。発酵後の果汁は最低2年以上の樽熟成と6ヵ月以上の瓶内熟成されようやくリリースされます。
陰干しして糖度が上がったブドウから作られるアマローネは果実味がぎゅっと凝縮された力強いイタリア最高峰の辛口赤ワインです。上品なタンニンとコクと共にスミレや赤い実のジャム、ヘーゼルナッツやチョコレートなど複雑性のある香りを感じ取ることができます。価格は5,000円台から1万円、ヴィンテージやあたり年のものになると数万円で販売されているものもあり世界のワイン愛好家からも一目置かれる高級ワインです。
モダンアートな空間 1925年創業のパスクアワイナリー
訪れたワイナリーはヴェローナ郊外に位置するパスクアワイナリー。モダンなワイナリー内で目を引くのは所々に飾られているアートの数々です。美しいボトルのデザインと心地よい飲み口のロゼワイン11ミニッツの展示スペースには光と鏡を使用した幻想的な空間が広がります。約9年以上の伝統とニューヨーク風のテイストが融合したワイナリーの魅力はワインの製造、試飲だけに留まりません。
3代目パスクアブラザーズが手がける革新的なワイナリー
初代パスクアブラザーズがブドウ畑とワイン作りを始めたのは1925年。故郷のプーリアからヴェローナへ拠点を移しワイン貿易に専念する新しいビジネスを確立し、貿易と小売業から本物のワイナリーを創業する決意を決めました。
60年代に、第2世代の家族がビジネスに参入し、輸出の機会と品質向上に力を入れます。第3世代目のメンバーが会社をリードし始めるようになり2009年にニューヨークに会社を設立。以降マーケットを世界中に拡大し現在、世界50ヶ国でワインを販売しています。
「決して諦めるな」「ヘイ、フランス人」
ボトルのエチケットに遊び心を
「Mai dire mai(決して諦めるな)」というワインは若手アーティストや職人をサポートするプロジェクトによって生まれました。
文頭でご紹介したロゼワインの11ミニッツは、マセラシオンの過程でワインに美しいピンクの色がつくまでの時間に由来し、他にも「Romeo & Juliet(ロミオとジュリエット)」など斬新でセンスの良いネーミングには、それぞれ違う意味が含まれています。
中でも「 Hey French(ヘイ、フランス人!)」と挑戦的な名前が付けられた白ワインは、ガルガーネガ、ピノビアンコ、ソーヴィニヨンのブレンドの辛口ワインで「この素晴らしい白ワインを、君たちフランス人は作れなかったんだね」と、同じくワイン大国であるフランスへ向け、ヨーロッパらしい冗談交じりの辛口なメッセージが込められています。
パスクア ワイナリー
https://www.pasqua.it/en/home/
瞑想ワインといわれる理由とは?
試飲室の扉を開けると、そこはまるでマンハッタンのヒップなバーのような洗練された空間が広がります。
バーカウンターが印象的なこの部屋では、地元のチーズやサラミを使ったフォカッチャと共に7種類のワインを試飲させて頂きました。入り口の展示スペースでテーマとなったロゼから始まり、ヴェネトを代表するソアベクラシコの白ワイン2種、赤ワインはアマローネの産地ヴァルポリチェッラの辛口赤ワイン2種に、最後は樽で2年間熟成された本場のアマローネを。
「以前は、みんなソアベの白を好んで飲んでいましたが、今は夏でもバルポリチェッラの赤ワインが人気です」。案内をしてくれたデジャナさんによると、イタリアの習慣であるアペリティーボのドリンクにも地域ごとに流行があるのだそう。
本場のアマローネの味はというと、濃縮された果汁のしっかり、そしてまろやかな味わい、口の中に上品な余韻が残ります。料理と合わせなくともワインだけで充分満足できる、まさに「瞑想ワイン」と表現されるのも納得の味わいでした。
アマローネの地で飲むべき「リパッソ」
リパッソとは、アマローネの造り手による伝統的な醸造方法です。醸造過程において、一度アルコール発酵させたワインに陰干しブドウから作られたアマローネの搾りかすを加え、残っている糖分を再びアルコール発酵(リパッソ)させる独特の製法です。搾りかすを使うことでアマローネ独特の深みとコクがワインに加わり、アマローネのニュアンスを兼ね備えた赤ワインをお手頃価格で楽しむことができます。
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ロミオとジュリエットの街ヴェローナのワイン旅②
イタリアンスタイルのワイナリー付ヴィラ ホテル ヴィラ ジオナ(Hotel Villa Giona)
AYUMI MARINI
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